一歩下がって考えてみた-Black tee thinking

50代、海外在住です。日々気づいたことを書き溜めています。

ヴィレッジヴァンガードの不振に思うこと~秋葉原の書泉ブックタワーは書店の未来の一つの形では(2023年4月3日)

ヴィレッジヴァンガード(VV)の店舗閉鎖が続いているようだ。最盛期だった2014年5月期時点の390店舗から、直近の決算期である2022年5月時点では318店舗にまで減少している。決算資料によれば、2022年11月末までの時点で既存店売上は横ばいながら、総店舗数の減少で売上高は減速傾向にあり、純利益ベースでは赤字が継続している。

 


VVはとても気になる存在だ。創業者の菊地会長が書店に勤務していた頃、店長を任された店を「自分の好きなように経営していい」と言われて内装や品ぞろえに趣味性を持たせたことが始まりとされている。この時代(1990年前後)はこういう「少し尖った」書店があって、書店を経営している人は誰でも憧れていたのではないか。

 


そんなVVなので書店という業態が衰退していく中でも踏みとどまっていた印象があった。メディアでも報道されているとおり、書店数の減少傾向は著しい。2010年度から2020年度の間で12649店から8789店、3割も減少している計算になる。年平均の減少率ではマイナス3.6%。そんな右肩下がりの中で、VVは2014年度まで店舗を増加させ、その後の減少も2022年度までの平均でマイナス2.5%なので健闘していると言えよう。

 


では何故VVの売り上げが不振に陥っているのか。その理由はおそらく、消費者はリアルの書店に対して豊富な品揃えを求めているからだろう。書店数が減少する中で書店規模の大型化は着実に進展していて、2010年度には単純計算で1店舗あたり76坪に対して、2020年度には86坪まで増加している。これは街の小さな書店の閉鎖が多いことが主因ながら、他方で消費者は品揃えの豊富な書店で、PC検索とは異なる偶然の出会い(セレンディピティ)を求めているからではないか。

 


VVの店舗は魅力的であり、入っていると楽しい。しかし正直に言えば本を買いにVVに行く人はいない。VV側もそういう戦略ではないだろう。VVとしては店のベクトルにあった本や雑貨を置いて、それを手に取ってもらうスタイルだ。それが通用しなくなったのは、小さい書店での購入体験を持つ消費者が減少した結果、本の品揃えに対する消費者の期待値があがり、結果としてVVの店舗の魅力が相対的に低下したことではないだろうか。

 

ここまで書いて思うのだが、VVはジャンルを特定した店舗にした方が消費者に受けるのではないか。ミリタリー、アイドル、鉄道等。秋葉原書泉ブックタワーは書店の未来の一つの形ではないかと改めて思う。

 


(参考にしたサイト)

https://corp.village-v.co.jp/files/23052Qsetsumeikaishiryou_2.pdf

http://www.garbagenews.net/archives/1985414.html

http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20190617_04.html