一歩下がって考えてみた-Black tee thinking

50代、海外在住です。日々気づいたことを書き溜めています。

ステーブルコインの未来が見えない。結局CDBCに競り負けるのではないか(2023年6月4日)

日本でもステーブルコインの発行が可能になった。6月1日から改正資金決済法が施行されたためだ。発行が可能になったとは言え、どのような使われ方があるのか、今一つピント来ない。

新聞報道等では、主として法人による利用、特に貿易決済を想定しているようだ。確かに貿易決済でステーブルコインを利用すれば、いわゆるdeliver versus payment、支払と船荷証券引き渡しを輸入者と輸出車が直接やり取りできる。これだけでもなかなかのメリットだと言える。

ただし企業側から見た場合、発行元のリスクがどの程度織り込むかで取り扱いが変わってきそうだ。ステーブルコインは裏付けとなる金融資産を保有していることが大前提であるし、金融庁等の認可も必要になる筈ので、信用力は銀行と類似の考え方を適用しても問題はなさそうだ。但しそれでも、1回が数億円から数十億円の貿易決済を行う以上、ステーブルコイン発行元の信用力を分析管理することが必要になる。電子決済手段である以上、ハッキング等の詐欺的手段で資産が奪われる可能性も否定できないことを考えるとやむを得ない。

それを企業視点から考えると、ステーブルコイン利用のメリットはかなり削がれてしまう。確かに貿易決済がより円滑に行えることは魅力だが、それに伴う諸々の信用リスク管理を考えると、総合的なメリットは高くないと考える企業も出てくるはずだ。

こうして考えると、企業が使うのはCBDC、Central Bank Digital Currencyが適当ではないか。プライバシーの観点でCDBCに対して警戒する個人は少なからずいるようだが、企業であればそのような懸念はない。ステーブルコインは個人の少額決済であれば使われると思うが、それで果たしてステーブルコインの発行元は収益化が可能なのだろうか。そもそもステーブルコインの未来がよくわからない。