一歩下がって考えてみた-Black tee thinking

50代、海外在住です。日々気づいたことを書き溜めています。

「レコード芸術」休刊 ~ 「狭く深く」掘り下げる雑誌しか生き残れない?(2023年4月4日)

専門誌の「レコード芸術」が2023年7月から休刊になる。図書館で少し眺める程度で購入したことはないが、クラシック音楽にフォーカスし、CD等の新譜に関する記事が中心の雑誌とのこと。つまり情報の主題は「コト」=ニュースではなくて「モノ」ということになる。そして、その「モノ」の対象はかなり幅広く、数が多い。

 


なぜ「レコード芸術」が休刊になるのか。すごく簡単に纏めると、この雑誌が提供していた情報の価値が以前ほど高くないからだ。では、何故「マックファン」や「ベストカー」はまだ生き残っていて、「レコード芸術」は生き残れなかったのか。恐らくは提供する情報が「広く浅い」か「狭く深い」かの違いではないか。

 


要は「レコード芸術」が対象にしているクラシック音楽の新譜の数は多いので、WEB検索と競合してしまったことがポイントではないか。2022年を例にとると、CDの新譜数は邦盤、洋盤合わせてクラシックは618となっている。この数は例えば邦盤の歌謡曲(4,665)洋盤のロック・ポピュラーソング(合わせて1,158)よりは少ないが、それでもかなりの数になる。勿論、これら全てを紹介しているわけではないが、個別のCDについて提供出来る情報は「広く浅い」ものになるため、WEB検索と競合しやすいという構図になる。

 


一方、例えば「Apple社の製品」や「乗用車」であれば、毎年新たに発売される商品は決して多くないので、提供する情報は「狭く深い」ものになる。そうであればWEB検索との競合は発生しないため、提供する情報にも価値が生じやすいという構図ではないだろうか。このストーリーで論じていくと、扱う「モノ」の数が多い雑誌、例えばモノマガジンなどはより状況が厳しくなるのだろうか。

 


それでは「レコード芸術」についても、例えば特定の有名作曲家にフォーカスして、それらを掘り下げた分析記事を提供すれば生き残れたかと言うと、多分違うと思う。クラシック音楽の難しさは、数百年前のコンテンツも十分に競争力がある点であり、昔の偉大な作曲家に関する分析は大量に行われていることがネックになる。それに、そもそもクラシック音楽の愛好者はそこまで多くないのが、最大の要因なのかも知れないが。

 


(参考にしたサイト)

https://news.yahoo.co.jp/articles/fa3c786cdb25ab50540098e5073a21dcfb632113

https://www.riaj.or.jp/f/data/others/sp.html