一歩下がって考えてみた-Black tee thinking

50代、海外在住です。日々気づいたことを書き溜めています。

新入社員、3年以内に離職3割超は高くない。むしろ転職を推奨すべき(2023年4月5日)

本日付けのテレビ東京のニュース配信で「新入社員、3年以内に離職3割超 離職を防ぐ企業の新対策」というものがあったが、3年以内に離職3割超は本当に問題視すべき高さなのだろうか。

 


絶対水準から言えば、3年以内に離職3割超はむしろ低い水準である。詳細は後述するが、欧米では年間の転職率は10%超が当たり前であり、私は15%を一つの目安としている。しかも、そもそも若年層の離職率は高い。これはアメリカの統計だが、いわゆるミレニアル世代、即ち1981年から1996年に生まれた世代の21%は1年以内に転職している。

 


国別の比較でも日本の転職率は世界的に見れば低い。2018年の国別の勤続年数統計データで「勤続年数1年未満の従業員の割合」を比較すると、欧米等と比較しても日本は圧倒的に低く8%、次がイタリアの11.7%になっている。主要国ではアメリカが22.6%、イギリスは17.1%、フランスは14.1%、ドイツは14.2%となっていて、これは上述した私の感覚とも合致する。なお、韓国は31.5%ととても高い。

 


更に言えば、若年層の転職率を低く抑えることが本当に良いのだろうか。日本以外でも4カ国で勤務経験のある自分としては、日本の転職率の低さが日本の経済活動の長期停滞の要因ではないかと考えている。能力の高い人が成長する業界で活躍した方が国として効率的なことは自明だし、必要以上にリスクを取らないカルチャーを変える契機にもなる。そもそも国家公務員が省益で仕事をしているような構図を見れば、人員が固定化された社会がいかに非効率的かがよくわかる。

 


日本の転職率はもっと上げるべきなのだ。それをテーマにすることは勇気がいるし、転職支援サービスの宣伝のように受け取られがちだが、そうではない。日本経済をより活性化するために必要な施策なのだ。新入社員にどんどん転職しろとまでは言わないが、合わないのであれば勇気をもって転職すべき。ブラックな労働環境から抜け出せずに不幸な結果になることも防げる。

 

(参考にしたサイト)

https://www.forbes.com/sites/forbeshumanresourcescouncil/2019/09/05/minimizing-employee-turnover-in-a-changing-workforce/?sh=3df21edb3884

https://careerotaku.com/archives/9222