チャットGPT規制強化~チャットGPTもTikTokも同じ穴のムジナか(2023年4月6日)
チャットGPTが盛り上がる中、利用規制について焦点があたっている。イタリアが3月31日に一時的な使用禁止を発表したことが発端だが、他の欧州諸国にも広がる動きがある。また、違うアングルで言えば、教育機関でも利用規制に関する議論も出てきている。
イタリアが禁止する理由は「データ保護」だ。報道では「個人データの大量な収集・保存を正当化する法的根拠がない」ことが理由と当局は説明している。その点は一理ある。便利に使えそうなチャットGPTに、少なくない人は無警戒に色々な情報を入れてしまう。その結果として、それらのデータが収集されてしまて、意図しない形でデータが利用されるのであれば問題になりそうだ。
しかしそのデータは利用者が意図して入力したものであり、同様のケースは他にもある。つまりTikTokのようにインストールしたアプリから知らない間に「データが抜かれているかも知れない」という構図とは異なり、チャットGPTは自分から入力したデータの収集が問題とされている。そうであれば、入力した側が二次利用の可能性も考慮してサービスを利用すべきということではないか。また、例えばGoogleやfacebookもアングルは違うが情報を勝手に収集している。見た目や目的は異なるが、指摘されているリスクは大きく変わらないように感じる。
要は本件は国家間のデータ囲い込み競争なのだろう。チャットGPTはアメリカのプラットフォームなので、アメリカ国内ではそのような議論が起きづらい。欧州はアメリカにすべてを握られたくないので、チャットGPT等の生成AIの分野では早い段階から芽を摘んでおきたいという意図なのだろう。恐らくは今からGoogleやfacebookがサービスを開始したなら、欧州も利用を規制するのではないか。実際にロシアや中国は米国のSNSの一部を当初から規制している。
つまり当局からしたら、チャットGPTもTikTokも同じような厄介者に見えるのだろう。それでも個人的には「データをこっそり盗む(と言われている)」TikTokは許容できないが、自己責任のチャットGPTに問題は見当たらないように思える。この傾向が加速していくと、データ収集型のWEBサービスは国単位で個人情報を蓄積するサーバーを置くような時代がくるのかも知れない。(そうなると、生成AIは国別に多様な進化を遂げるので、それはそれで面白そうだが。)
(参考にしたサイト)
https://jp.reuters.com/article/tech-chatgpt-idJPKBN2W104M