一歩下がって考えてみた-Black tee thinking

50代、海外在住です。日々気づいたことを書き溜めています。

手荷物検査や金属探知チェックが日常的な未来~岸田首相遊説先襲撃事件から考える(2023年4月15日)

岸田首相が和歌山市の演説先で爆発物を投げ込まれる事件が発生した。犯人の動機や背後関係については今後明らかになると思うが、安部元首相が銃撃されて1年も経たないうちに再度発生した首相クラスへの襲撃事件は我々にとって大きな衝撃だ。

この事件で改めて気づかされるのは日本と多くの海外では警備に関する考え方の違いだ。海外の方々の多くはこの報道に接して「首相が遊説している場所に爆発物をどうやって持ち込んだのか」と疑問に思う人が多いはずだ。国毎に対応は異なるが、海外では政府機関等の重要施設は勿論、大規模イベントや観光施設においても手荷物検査と金属探知ゲートが一般的だ。それらのチェックは完璧ではないが、相応の抑止力にはなる。

日本ではこの類の事件が起きる都度、同じ議論が繰り返されるが、未だ対応はされていない。2018年に新幹線車内で殺人事件が発生した際にも手荷物検査の議論が出たが、新幹線の利便性が失われる等の理由で事業者側としても実施に及び腰だ。特に新幹線については飛行機と競合する中で、利便性をアピールポイントに掲げているため、導入しづらいという背景もある。

しかし海外では手荷物検査や金属探知チェックは極めて一般的だ。地下鉄のような日常的な公共交通機関で行われている例は少ないかも知れないが、新幹線のような長距離列車では多くのケースで行われているのではないか。自身の体験やネットの情報等を踏まえると、欧州のユーロスターやスペイン、ロシア、インド、中国等の高速鉄道では実施されているようだ。一方で、韓国、台湾やフランスでは実施されていない。大規模イベントでも同様で、スポーツイベントやコンサートでも、手荷物検査や金属探知チェックを実施しているケースは海外では多いのではないか。

やはり手荷物検査や金属探知チェックは「いつやるか」の問題になり始めている。統計上は日本の治安は改善しているが、多くの日本国民の印象としては寧ろ悪化しているし、今回の事件にように凶悪化しているように思える。定住外国人も増えるので、不逞な輩が増える可能性も否定できない。理想的な状態とはかけ離れているが、受け入れざるを得ない未来なのだろう。