一歩下がって考えてみた-Black tee thinking

50代、海外在住です。日々気づいたことを書き溜めています。

金融に特化したChatGPT~確かに金融はChatGPTとの相性が良さそう(2023年4月22日)

Twitterで見かけたが、金融に特化した「finchat」というChatGPTがあるらしい。但し、Googleでfinchatと検索すると、以前からある金融業界向けのチャットサービスがヒットするので注意が必要だ。URLはfinchat.ioらしい。

早速トライアルで使ってみたが、確かに金融に特化したと謳うだけあってChatGPTよりも良さそうだ。試しにToyotaの過去3年間の財務状況と自動車の販売台数について要約するように指示したところ、大雑把な分析ながら数字を瞬時に抜き出してきた。同じ質問をChatGPTに投げかけたところ、2021年までしかデータが蓄積されていないので、2018年から2020年までのデータしかないと前置きした上で回答を吐き出したが、finchatと異なって数字が表組では出力されず、文章で全て回答を出してくるなど、やや物足りない結果になった。

使いながら感じたことは、金融はChatGPTような生成AIとの相性が良いことだ。公開企業の財務計数は全て公開されているうえ、国単位で異なるとは言え、各国の財務諸表は定型化されているのでデータ処理がしやすいためだ。財務諸表を抜き出してまとめる作業は法人金融におけるベース作業なので、これが自動でやってくれるのであれば作業の大幅な自動化が視野に入る。

日本のメガバンクもChatGPT使用を決めたところがあるようだが、finchatにすれば更に使い勝手が高まると思われる。データ管理が気になるところだが、公開情報をベースに作成する限りは問題にはならないし、それに各金融機関は個別契約で情報の漏洩を防ぐことになるだろう。

巷間言われているように、やはり生成AIは金融業界においても大幅な効率化をもたらしそうだ。財務分析の下積み作業はこれまではアナリストを言われる若手の職種が対応してきたが、若手のアナリストのニーズも大幅に少なくなる。提案資料のスライドづくりなのも生成AIならすぐ作れる。しかも思考の基礎が出来ているので、もれもダブりも無い資料がお手軽に出来てしまうだろ。

ではスライドづくりは全て生成AIに仕事を取られてしまいうのだろうか。想像に過ぎないが、流石の生成AIも伝えたいメッセージに沿ってスライド構成を考えることは苦手ではなかろうか。また、定型化されていない資料やデータを各所から拾って纏めることも暫くは人間のほうが得意そうだ。但し時間の問題ではあるが。

法人金融に携わる人員が半分程度に減ってしまうほどのインパクトがありそうだ。今後の展開を見守りたい。