一歩下がって考えてみた-Black tee thinking

50代、海外在住です。日々気づいたことを書き溜めています。

海外赴任期間中、日本の携帯電話番号を維持するならHISモバイルがお奨め(2023年4月28日)

海外に赴任する際、日本の携帯番号をどうするかはとても迷う。但し同じ携帯番号に拘らないのであれば対応は簡単だ。いったん解約してしまえばよい。しかしそこまで割り切れる人は寧ろ少数派ではないか。今使っている携帯番号を維持した方が、日本に帰国した後に古い友人ともつながりやすくなる。

同じ番号に拘る場合、海外赴任地では日本の番号を全く使わないか、時々使うかで対応が変わってくる。前者の「海外では日本の番号を使わない」場合、大手キャリアは電話番号とメールアドレスの一時預かりサービスを提供している。費用は400円前後で最長5年間保管できる形式が一般的なようだ。一方で後者の「時々使う」場合は、出来るだけ月額手数料が安い格安の携帯会社を選び、SMS等で日本の番号を受信する場合だけSIMカードを入れ替えることになる。これは以前の私のやり方だ。ちなみに私はIIJを使っていた。

但し、最近の格安ケータイ会社は多様なプランを提供しているので、これを活用することで更に安く仕上げることが可能だ。同じ番号に拘る一方で海外では日本の番号を使わない前提であれば、今はpovo 2.0が最適だろう。povoであれば180日間に1回、トッピングと呼ばれる有料オプションを購入すれば良い。一番安い有料オプションは220円からあるようなので、6か月で220円を払えば番号を維持できることになる。

一方、後者の「時々使う」場合はHISモバイルが安い。最安メニューであれば月額290円で100MBまで毎月利用出来る。音声通話+データ+SMSのプランなので、海外でSMS受信も可能だ。HISモバイルが更によいのはeSIMが使えることだ。なので、面倒なSIMの入れ替えが発生しないので、海外の番号を使用しながら、日本の番号のSMSも受信できることになる。しかもeSIMなら海外に居ながら契約が出来るのもよい。日本の留守宅で住所確認コードを受領して入力する手間はあるが、それさえ乗り切れば後の手続きは簡単であり、一時帰国しないままMNPもできてしまう。

HISモバイルの残念なことは月額データ上限を高めに設定すると利用料も割高になることだが、それを差し引いても余りあるメリットがある。帰国中の機内でチマチマとSIMを入れ替えていた頃を考えると便利さは加速していることを実感する

ダウン症のバービー人形~むしろ子供たちの自尊感情を傷つけることにならないか?(2023年4月27日)

マテル社が「ダウン症のあるバービー人形」を発表した。発売の狙いは「多くの子どもたちに、自分とバービーの共通点を見つけてもらいたい」とのことだ。英文のプレスを見ると「created to allow even more children to see themselves in Barbie, as well as have Barbie reflect the world around them」とあるので、ダウン症の子供たちと、その子供たちを取り巻く健常児(この表現も抵抗感があるが)を対象にしていることがわかる。

でも思う。それは大人の自己満足じゃないだろうか?

そもそもダウン症の子供たちも、その子供たちを取り巻く周囲の子供も、ダウン症についてどこまで理解しているのだろうか。バービー人形の対象年齢は3歳からとなっているので、コアとなるゾーンは3-5才くらいではないだろうか。そして、それくらい年齢のダウン症の子供たちは自分が人と異なることやダウン症の症状、特性についてどの程度理解しているのだろうか

方向性は間違っていないが、自分が他人と大きく異なることを意識させるのは3-5才は早すぎやしないか。健常児との違いを意識させることは大事だが、それは自尊感情を保ちながら、自分自身の特性や得手・不得手を理解させる必要があるから難しいのだ。

マテル社は他にも車椅子や補聴器、義肢を使うバービー人形を発売しているらしいが、ダウン症の人形はより難しい問題を惹起する可能性があることを強く懸念している。

AirTagはアップル製とサードパーティー製を使い分けるのが吉(2024年4月26日)

先日AirTagを購入したが、思ったより便利で気に入っている

2つ購入して日頃使っているカバンに装着しているが、外出すると毎回「使っていない方のカバンに取り付けたAirTag」が「手元から離れました」との通知がiPhoneに表示される。その都度少しだけドキッとするが、作動すべき機能がしっかり動いていることが確認出来て大変心地いい。

一番便利と感じているのは飛行機に搭乗するときだ。チェックインする荷物に入れておけば、カバンをターンテーブルからピックアップするときに「まだ来ないのか」とドキドキしながら待つ必要はない。少し離れたベンチで座り、「探す」機能をオンにしてAirTagまでの距離を表示して、自分のカバンが近づいてきたら立ち上がればいいのだ。飛行機で荷物をピックアップする際にはいつも「ロストバゲージ」を心配してしまうが、少なくとも到着した空港に荷物が着いていることもすぐに確認できるのは精神衛生上とても良い。

「探す」機能で目的物までの距離を表示する機能は全てのiPhoneやAirTag製品・類似製品で使えるわけではない。iPhoneについては超広帯域(UWB, Ultra Wideband)チップを搭載したiPhone11以降が必要であり、AirTag側もAppleの純正品以外は使えないようだ。(一部使える製品があるかも知れないが)

私は「距離表示」機能を使いたかったので、まずは純正AirTagを複数購入したが、用途によってはサードパーティー製品と使い分けるのもよいかもしれない。安いものであれば半額程度で買えるものもあるようだ。AirTagを付ける対象は鍵や傘、ペットや自転車など色々なものがあるが、動き回るペット以外は純正AirTagでなくてもよいかも知れない。私も次の一時帰国の際に、サードパーティー製を少し買い足してみよう。

ジョブ型雇用の導入、進まない理由は抵抗する人事部の存在か(2023年4月25日)

近年よく耳にする 「ジョブ型雇用」、日本の大企業に定着すれば人材の流動化が加速度的に進み、いいことづくめのように思えるが、なかなか進捗していない。

そもそも「ジョブ型雇用」とはなにか。簡単に言えば、担当させる職務をあらかじめ決めた上で社員を採用することであり、採用はその「職務」と原則としてひも付きになる仕組みだ。なので、転勤や配置換えがある場合は原則として同じ「職務」の範囲で行われることになる。従来の採用形態であれば、人事異動で全く異なる業務を担当するケースもあったが、そういう配置換えは基本的には発生しなくなる。

基本的には海外の企業はかなりの割合がジョブ型雇用だ。大手企業が新卒を一度に大量採用する場合は企業が適性を見極めて配属するケースもあるようだが、一度配属されてしまうと、その業務を今後のキャリア展開の軸足にすることが基本になるはずだ。

メディアがもてはやしていることもあり、日本でもジョブ型雇用の導入が進んでいるように見えるが、特に大企業への導入は道半ばだ。その理由は煎じ詰めると「人事部の抵抗」ではなかろうか

ジョブ型雇用を行うと、社員の異動や評価、昇進・昇格等を調整する権限の大半が人事部から現場の部署に移ることになる。この権限は人事部の影響力の源泉であり、これらの影響力を行使できるために人事部は日本の大企業において特別な位置づけを占めていた。仮にジョブ型雇用が導入されると、人事部が担当する業務は「給与支払い事務」や「評価結果の取り纏め」等の下請け作業になってしまうので、彼らとしては積極的に推進するインセンティブに乏しい

更に採用や給与額の調整についても、ジョブ型雇用が定着すると現場に移ることになる。配属する部署を予め想定して採用を行うので、採用面談にも現場の部署が関与することが原則になる。また、給与額の決定・調整権限も現場に移るだろう。従来は人事部が詳細に設計した制度の中で、職級や職階等を適用させることで給与を決定してきたが、それらの制度を飛び越えて給与を現場で決定するケースが増えてくるはずだ。つまり人事部が担ってきた機能の大半が現場に移管されてしまうのだ。

しかし、仮に人事部が権限を手放したとしても、ジョブ型雇用が一気に進むとは思えない。日本の大企業では未だに中途採用はマイノリティであり、労働市場も未成熟だ。そうであれば、従来型雇用からジョブ型雇用への切り替えはデジタルに行う必要はなく、暫くはハイブリッドで対応していくことが、良さそうだ。人事部の面々にとっても刺激が少ないのではないか。

 

スーダンからの邦人退避~海外赴任の在り方が変わる(2023年4月24日)

スーダン国内での軍事衝突に伴い、邦人退避に関する報道が増加している。スーダン国内の日本人は60人ほどであり、退避の為に派遣した自衛隊機がジブチに到着したほか、陸路での脱出も議論されているようだ。欧米等も自国民の退避を進めているが、フランスにより退避プロセスでは車列に攻撃があるなど、現地でも混乱が増している。

海外にいる日本人が危険な目に遭うリスクは最近高まっているように思える。中国におけるアステラス製薬社員の拘束に加えて、ロシア・ウクライナ情勢やミャンマーの政変で多くの日本人駐在員が一時的に国外退避するなど、以前にもまして危機管理がクローズアップされるようになった。台湾情勢に関するシミュレーションについても多くの企業が行っている。

コロナ禍を経験してリモート勤務が定着したため、リスクシナリオ発生時の自由度は大幅に向上した。以前であれば赴任国から避難・出国してしまえば業務は事実上ストップしていたが、今の環境であれば業務継続は可能だ。リスクが高まった時点で早めに手を打つことで、駐在社員を無用なリスクに晒すことを回避できる。(ただし、今回のスーダンのケースは比較的突発的だったこともあり、対応が間に合わなかったようだが。)

従来、リスクシナリオにおける企業の危機管理のポイントは「いかに脱出させるか」に重きを置かれていた。なので、途上国に赴任すると「最も近い主要国までの片道オープンチケット」が支給され、緊急時はそのチケットで国外に脱出することとされていた。また、陸路での脱出路も確認することが求められたりもした。但し前者については赴任国が本当に混乱すると結局は使えない可能性もあるので、実効性に疑問がついていたのは事実だが。

今後は治安や政情に不安がある国への駐在員赴任は極力絞り込むことが加速するのではないか。営業等、赴任しないとビジネスにならないケースなら兎も角、現地の業務運営や人事、内部管理等についてはリモートの枠組みを活用すれば対応できるケースが多い。その上で定期的に出張すれば対応が出来るのではないか。

三菱電機は海外に赴任せずに国外からリモート勤務を行う制度を導入したとの報道があった。それで100%海外赴任をなくせるわけではないが、今後の日系企業の国際業務における一つの解として広まっていく可能性が高そうだ。

差別の排除が不平等に繋がる難しさ~トランスジェンダーのスポーツ競技問題(2023年4月23日)

 LGBTQに関する認知は21世紀にはいって急速に向上している。昔は蔑視やからかいの対象になることもあったが、今ではそのような認識を持つ人は少数派だろう。LGBTQに対して否定的な考えを表明すると社会的に指弾されることもあり、少なくとも表面的には日本もLGBTQに対してより寛容になった。

一方で社会の意識の変化に制度が追い付かないケースも多い同性結婚については人口カバー率では65%以上の自治体がパートナーシップ制度を導入するなど取組が広がっているが、法律婚との違いは大きい。トイレ問題についてもオールジェンダートイレを設置する建物も増えているが、まだ一部に留まっている。

このLGBTQに関連して最近ニュースでも頻繁に見かけるのが「トランスジェンダーのスポーツ競技問題」だ。トランスジェンダー選手の活躍は東京五輪でのニュージーランドの重量挙げのローレル・ハバード選手や米国のの大学水泳のリア・トーマス選手が比較的よく知られている。問題とされているのは男性から女性に性別を変更した場合の身体的な優位さだ。性別変更する前から大学の男子水泳チームに属していたトーマス選手の場合、性別移行の過程で筋力が低下したものの、女子のカテゴリーでも上位の成績を収めており(2022年時点の500ヤード自由形では女子チームで1位)、2024年の夏季五輪選考会に出場する意向を示していた。

但し、トーマス選手の五輪出場は制度変更で不可能となったようだ。2022年6月に国際水泳連盟トランスジェンダー選手の出場に制限を設けたため、男性として思春期を経験しているトーマス選手の五輪出場は認められなくなった。

トランスジェンダーのスポーツ競技参加については色々な考え方があるが、筆者は2つの理由から「制限を設けるのが妥当」と考えている

一つは「差別を排除した結果、公平性が失われる」ことの不合理さだ。トランスジェンダー選手に対する差別を排除し、機会均等を与えることは社会として継続すべきだが、その結果、公平性を失われることがあることは許容されるべきではない。スポーツ選手は生まれつきの体格や身体能力等で不公平さがあるから、この程度の不公平さも許容されるべきとの議論もあるようだが、不公平を積極的に作り出す必要はない。

もう一つの理由はトランスジェンダー選手を非トランスジェンダー選手と同列で競技させる」ことが合理性に欠く点だ。男性から女性に転換した選手を女性として扱わないことを「差別」と言い募る人もいると思うが、そもそも異なるカテゴリーに属するべきなのだ。これは第三、第四の性としてカテゴリーを作り、その中で競技してもらうのが妥当ではないか

スポーツ競技において、トランスジェンダー選手への配慮が過剰と感じるのは自分だけだろうか。リベラルな人の一部は「差別を完全に排除する」ことを重視しすぎるあまり、トランスジェンダー選手に過剰に配慮する傾向があるが、その結果として、例えば生物学的に女性として生まれたアスリートが競争で不利な立場に置かれることは、とても公平とは思えない。「差別の排除が不公平に繋がる」仕組みを積極的に作り出すことは避けるべきではないか。

(参考にしたサイト)

https://www.sankei.com/article/20220924-RPVYROJ3D5ICLOX3JUAJDLRWGU/

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%BB%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%82%B9

https://www.marriageforall.jp/marriage-equality/japan/

金融に特化したChatGPT~確かに金融はChatGPTとの相性が良さそう(2023年4月22日)

Twitterで見かけたが、金融に特化した「finchat」というChatGPTがあるらしい。但し、Googleでfinchatと検索すると、以前からある金融業界向けのチャットサービスがヒットするので注意が必要だ。URLはfinchat.ioらしい。

早速トライアルで使ってみたが、確かに金融に特化したと謳うだけあってChatGPTよりも良さそうだ。試しにToyotaの過去3年間の財務状況と自動車の販売台数について要約するように指示したところ、大雑把な分析ながら数字を瞬時に抜き出してきた。同じ質問をChatGPTに投げかけたところ、2021年までしかデータが蓄積されていないので、2018年から2020年までのデータしかないと前置きした上で回答を吐き出したが、finchatと異なって数字が表組では出力されず、文章で全て回答を出してくるなど、やや物足りない結果になった。

使いながら感じたことは、金融はChatGPTような生成AIとの相性が良いことだ。公開企業の財務計数は全て公開されているうえ、国単位で異なるとは言え、各国の財務諸表は定型化されているのでデータ処理がしやすいためだ。財務諸表を抜き出してまとめる作業は法人金融におけるベース作業なので、これが自動でやってくれるのであれば作業の大幅な自動化が視野に入る。

日本のメガバンクもChatGPT使用を決めたところがあるようだが、finchatにすれば更に使い勝手が高まると思われる。データ管理が気になるところだが、公開情報をベースに作成する限りは問題にはならないし、それに各金融機関は個別契約で情報の漏洩を防ぐことになるだろう。

巷間言われているように、やはり生成AIは金融業界においても大幅な効率化をもたらしそうだ。財務分析の下積み作業はこれまではアナリストを言われる若手の職種が対応してきたが、若手のアナリストのニーズも大幅に少なくなる。提案資料のスライドづくりなのも生成AIならすぐ作れる。しかも思考の基礎が出来ているので、もれもダブりも無い資料がお手軽に出来てしまうだろ。

ではスライドづくりは全て生成AIに仕事を取られてしまいうのだろうか。想像に過ぎないが、流石の生成AIも伝えたいメッセージに沿ってスライド構成を考えることは苦手ではなかろうか。また、定型化されていない資料やデータを各所から拾って纏めることも暫くは人間のほうが得意そうだ。但し時間の問題ではあるが。

法人金融に携わる人員が半分程度に減ってしまうほどのインパクトがありそうだ。今後の展開を見守りたい。