一歩下がって考えてみた-Black tee thinking

50代、海外在住です。日々気づいたことを書き溜めています。

預金保険について考えた~1千万円超の預金を預けるのは避けたほうが良い?(2023年5月7日)

シリコンバレーバンクの実質破綻以降、預金保険に関する報道が増えているので、今一度「現実的な視点」で預金保険について考えてみた

結論から言えば、中堅銀行以上であれば預金が保護されない可能性が低いと考えられるので、比較的大規模の金融機関にある程度分散して預入れすることをお勧めしたい。

まず、日本の預金保険について確認したい。対象は簡単に言えば預貯金は全て対象であり、限度は1金融機関あたり1千万円。外貨預金、譲渡性預金金融債の一部やは対象外となるが、大半の個人には無関係のはずだ。また決済性預金は全額保護されるが、これは当座か無利息普通預金なので、やはり殆どの個人は無関係だ。仮に異なる支店に複数の口座を保有していても、同一名義口座の確認作業(名寄せ)が行われるので、保護上限は1金融機関あたりとなる。

なので最も安全確実なのは各金融機関の預金残高を1千万円までに抑えることだが、現実的には中堅銀行以上であれば、そこまでの必要はないと考えている。金融機関の破綻・ペイオフ(金融機関の破綻に際して預金者が損失を負担するケース)の事例は日本では1件しかなく、今後も大規模な金融機関の破綻でペイオフを発動する可能性は低いと考えられるからだ。その1件とは2010年の日本振興銀行の破綻処理であり、預金者総数は11万人、預金総額は5800億円規模だった。この水準はかなり小規模の銀行、若しくは比較的大手の信用金庫クラスに相当する。

大規模な金融機関ではペイオフを回避するのは米国も同様である。全米で資産規模16位だったシリコンバレーバンクのケースでは混乱を避けるために預金は全額保護され、別の地方銀行に買収されることになった。この傾向が必ず続くとは限らないが、大手であればあるほど、ペイオフは回避される可能性が高いと言えるだろう。

なので、冒頭に書いたとおり、比較的大規模の金融機関にある程度分散して預入れしている限りは、1金融機関あたり1千万円を超過してもリスクは極めて低いといえる。金融資産が3億円くらいまでであれば、5-6くらいの金融機関に分散しておけば良いのではないか。1億円程度であれば金融機関は3つ程で十分だと思う。すべて比較的規模の大きい金融機関との取引であることが前提ではあるが。

なお、上記は飽くまで個人の見解なので、実際の預金取引は各自の判断で行って頂くべきであることを、念のため申し添えておく。

 

旅行先のスマホSIMでAiraloを使ってみた(2023年5月4日)

最近の海外旅行で特に面倒くさいのがスマホSIMの確保だ。荷物をピックアップして到着ゲートに出た後、最初にあれこれSIMの手続きを行うのは本当に憂鬱になる。しかも空港で買うと割高なことが多く、その点も腹立たしい。

なのでeSIMを利用してみたところ便利だったので紹介したい。なお、ここで紹介する会社とはおカネの授受が一切ない点を予めお断りしておく。

国外旅行で最初にeSIMを使ったのはジョージアだった。最初は空港で手続きをするつもりだったが、試しにAiraloという会社のサイトからeSIMを購入したところ値段も安く簡単だったので、次の旅行先だったヨルダンでも同じ会社で利用してみたところ、こちらでも問題は無かった。

費用は当然ながら国毎に異なる。ジョージアの場合は2泊3日の日程で2GB分、15日間有効のものを10ドルで購入した。節約したこともあるが2GBであれば十分だ。ヨルダンの時は1GB分、7日間有効のものを6.5ドルで購入した。日程は同じく2泊3日だったが1GBしか購入しなかったのは、1GBの次の購入単位は3GBで18ドルだったからだ。本来は2GBくらいが丁度良いので、まずは1GB分を購入して足りなくなったら1GB追加すればよいと思ったが、結局は不要だった。

設定は少しだけ面倒だが、慣れれば入国審査で並んでいる間に可能だ。初めて購入したジョージアの時はまさにそうだった。空港のwi-fiに繋ぎ、並んでいる間に設定が完了している。10分ほどだった。但し注意点がある。事前に購入する場合でも、実際のeSIM設定は目的国に入国してから行う必要があるようだ。ヨルダンの場合、入国前に手配しようとして設定が途中で止まってしまい、再購入する必要があるかと心配になった。(結局不要だったが)

このAiraloは比較的大手のようだが、おそらくは他でもサービスに大差はないのではないか。実際のところ、1GB単位で5ドル以上も払うのはかなり割高だと思うが、恐らくは空港で買う物理的なSIMより安いと思う。私は今後旅行先ではeSIMにするつもりだ。

存在感を失ったハリス副大統領から「選挙制度の大切さ」を考えてみた(2023年5月2日)

バイデン大統領の次期大統領選出馬表明に伴い、他の候補や候補予定者にもスポットを当てた報道が相次いでいるが、そこに全く登場しない人がいる。ハリス副大統領は2年前の時点では次期大統領に一番近い位置にいると考えられていたが、今はその影は全くない。いったい何があったのか、改めて考えてみた。

よく指摘されるのは政策対応への躓きと失言だ。移民問題では中南米訪問で「国境に来ないで」と発言したり、少し前のテレビインタビューでも最近のアメリカの社会ムードを表現する言葉として、アメリカの政界ではNGワードである「マレーズ(沈滞)」という言葉を使い不興を買った。

但し、その程度でこれほど失速はしない。バイデン大統領の失言だって相当なものだ。他の要因として性差別や人種差別もあげられるが、それ以前に彼女のリーダーとしての資質が問題になっている可能性がある。彼女の周囲のスタッフが長続きせず、幹部の辞任が相次いでいるという噂もある。要は「悪いボス」の可能性があるようだ。仮にそうであれば、米国大統領が務まると考える人は少なそうだ。

調べてみると、ハリス副大統領のスタッフ問題はなかなか根深い上院議員時代にハリスの事務所スタッフの離職率上院議員100人中トップだった。選挙期間中もスタッフのサポートを十分に得られず、副大統領就任後についても彼女の容赦ない言動やフラストレーションにスタッフが苦労したエピソードもあるようだ。

ここで敢えて裏読みをしてみる。彼女は「嵌められた」可能性はないだろうか。例えば、次の大統領選にも出馬したいバイデン大統領か、若しくは「バイデン大統領のほうが御しやすい」と考えるスタッフによる陰謀の可能性も否定は出来ない。但し、彼女の「リーダーの資質問題」を裏付ける材料は豊富なので、その可能性は低そうだ。

こうやって考えてみると選挙制度でトップを選ぶプロセスの大切さがよくわかる表面的な華やかさや演説の巧みさなど、表面的ではない要素も時間は要するが加味されていくわけだ。そうであれば、バイデン大統領もトランプ元大統領も、我々からは見えない素晴らしさがさらに隠されているのかも知れない。

(参考にしたサイト)

https://www.newsweekjapan.jp/sam/2022/01/post-79_2.php

https://www.tokyo-np.co.jp/article/155583

https://www.bbc.com/news/world-us-canada-60061473

 

 

 

クレムリンへのドローン攻撃~裏の裏の更に裏を読む (2023年5月3日)

本日のモスクワ時間午後、ロシア大統領府はモスクワのクレムリンにドローン攻撃があったと発表した。攻撃の瞬間を捉えたとされる動画も出回っている。衝撃的な内容だが、本当に攻撃があったのか色々考えてみた。

タイミング的には絶妙だったことから、ウクライナの攻撃だった可能性が高い。来週火曜日には対独戦勝記念日を控え、国の威信をかけたパレードも行われる直前なので、このタイミングでロシアの偽旗作戦を敢えて行うのは考えにくい。

ウクライナへの大規模攻撃や二次動員を正当化する口実になるという点で、偽旗作戦の可能性も残る。依然としてロシアはバフムトの完全掌握に至っていない。その中で大規模なオペレーションや国民に不人気な二次動員を行う口実として、今回の事件は格好の材料になる。

クレムリンの防空体制が杜撰であることが明らかにされてしまった点を考慮すると、ウクライナの攻撃のほうが信ぴょう性が高そうだ。モスクワには何度か訪れたことがあるが、クレムリンは日本で言えば江戸城と同じようなロケーションだ。街の中心部且つ最重要区画の上空までドローンの侵入を許したということは、クレムリンの防衛責任者の首が飛ぶほどのインパクトがあり、偽旗作戦とは考えにくい。

ドローンの種類からウクライナの攻撃を疑う意見もあるが、どちらの可能性も考えられる。動画を見る限りでは自爆ドローンは小型でありウクライナ領域から飛来できないタイプだが、ロシアに侵入した部隊が実行した可能性もある。これはウクライナ攻撃、偽旗、両方の可能性が考えられる。

なので、これらを考え合わせると、やはりウクライナの攻撃の可能性が高そうだ。

手段についても考えてみた。素人の想像の域を出ないが、クレムリンの近くに爆弾を積んだドローンを隠しておいて、深夜に完全自律飛行で自爆攻撃を加えたのではないか。最近は赤の広場は完全に封鎖されているが、すぐ近くには住宅地もあり、そこまで警備の目が行き届かない可能性もあるからだ。

ロシアの友人に言わせると、今回の攻撃がモスクワ市民に与えたインパクトは大きいらしい。そういう意味ではウクライナの攻撃は成功だったかもしれないが、結果としてロシアの大規模攻撃の機会を作ったことにならなければ良いが。

 

居酒屋の将来について考えてみた(2023年5月1日)

コロナ禍が終了して外食産業の売り上げが回復している。2023年3月は前年同期比で19%のプラス、16か月連続で前年比プラスとなっている。特にアルコールをメインにしているパブ/居酒屋部門はプラス89%と高い伸びを示している。酒類の提供制限が無くなったうえに歓送迎会シーズンも重なったことが理由とされている。

ただし、パブ・居酒屋などの業態の将来は難しそうだ。コロナ禍が終了して人の動きは回復してきているが、在宅勤務の増加、飲みケーション文化の交代、家飲みの定着、健康志向の高まりなど、ネガティブ要因ばかりが連想される。

そもそも日本の「飲み屋」文化は欧米とは大きく異なる。アルコールを中心に据えながら、それに伴う食事もバランスよく提供しながら「宴会」の場を提供するスタイルの飲食店は、少なくとも欧米にはなさそうだ。食事メインのレストランで、食事に合わせて良質のアルコールを楽しむスタイルか、パブやバーのようにアルコールをメインに据えて、限定的にフードを提供するかの何れかだ。二兎を追う居酒屋形態のお店は見かけない。

そこから考えていくと、現在の居酒屋もレストラン化してフードに注力するか、提供するアルコールで差別化を図りながらパブ形態に移行するかの何れかになるのではないか。但し、何れの業態もすでに市場が確立しているので、新しい切り口がないと参入余地は乏しい。では何ができるのか。

一つは個食対応だろう。これは立ち飲み店と競合するので差別化が必要だが、清潔なテーブル席と、できれば間仕切りを設けて個人スペースを確保すれば一定の人気が出るのではないか。また、他の客との交流を前提とする席と、そうでない席を分けるのもよさそうだ。

二つ目はエンターテイメントの提供だ。一人で来店する場合、スマホや本、雑誌を見ながら飲食をするケースが多い。なので、漫画喫茶のように一定数の漫画や雑誌を置くことも検討できるのではないか。パソコンの設置はコストや保守メンテを考えると難しそうだが、漫画喫茶のフレーバーを足すことは差別化に繋がると思われる。

三つ目としてはアルコール類の差別化が考えられる。典型的なのはカクテル系だ。若しくは高級なウィスキーなども面白そうだ。氷で工夫してもよい。もう少しエッジを効かせれば来店の動機につながるのではないか。

四つ目としてデリバリー対応も検討できる。アルコール類は購入したものを消費できるにしても、おつまみは手の込んだものを食べたいニーズは確実に存在する。なので、アルコールに合うフードのデリバリーに注力することも一案ではなかろうか。

改めて感じるのはアルコールとフードの双方を重視する居酒屋業態の特殊性だ。今の時代のトレンドではもう少しエッジを効かせる必要があるのではないか。その結果、各店舗の小規模化は避けられそうにないが。

 

男性向け美容が伸びた理由を考えてみた(2023年4月30日)

 久しぶりに日本で電車に乗る機会があり、車内に男性美容の広告が多いことに驚いた。そこで、その背景を少し考えてみた。つある。

一つはオンライン会議が増加したことだろう。コロナ禍に伴ってオンライン会議が増加した結果、自分のビジュアルを見る機会が飛躍的に増加した。より客観的に自分を見る機会が増えたため、画面での自分の「映え」を気にするのは自然なことだ。最近では出社頻度は増加したがオンライン会議はそれほど減っていないうえ、実際に人に会うのであれば、更に自分のビジュアルが気になる。これは男女ともに当てはまる理由だが、尤もらしい理由に思える。

二つ目は性差を気にする傾向が後退したことがあるのではないか。LGBTQに関する認識が高まり、男性らしさ、女性らしさに対する意識は大きく変化している。しかもLGBTQの人々は一般的に美意識が高いので、LGBTQに関する報道が増加する中で美容に対する関心が高まり、抵抗感が薄れていった可能性がある。

三つ目はコロナ禍終息後のPCR検査に代わる収益源なっている可能性だ。統計や報道などから確認出来なかったが、コロナ禍の最中にPCR検査を積極的に手掛けていたのは美容関連のクリニックが多かった印象がある。検査ニーズも下火になった今、新しい業務分野として美容関連、特に男性美容に目を向けていることも関係がありそうだ。

特に二つ目と三つ目は筆者の想像だが、全く無関係ということではなさそうだ。コロナ禍とLGBTQ、二つの大きな社会現象が関係しているのであれば、当面は継続するだろう。

 

Appleが無敵の消費者金融業者になる蓋然性(2023年4月29日)

Appleによる貯蓄口座提供開始を契機に再び金融業者としてのAppleが注目を浴びている。現時点においてAppleが提供してる金融サービスはまだ限定的だ。アップルカードとBNPL(Buy Now Pay Later)、Phoneアプリのウォレットに加えて、ピア・トゥー・ピアレンディングも行っているらしい。個人向けの金融サービスに集中しているのが特徴だ。

Appleが個人向けサービスにリソースを集中するのは合理的な選択だ。Appleのメイン事業であるスマホやコンピュータは法人販売もあるが基本的に個人ユーザー向けだAppleの顧客は高いロイヤルティで知られているので、熱心なAppleユーザーは金融でもAppleを利用する可能性が高い。更にiPhoneの端末は比較的高価なので、ユーザーの平均年収は高めになるだろう。

しかもApple消費者金融においてすさまじいアドバンテージを抱えている。消費者の行動記録だ。そこには決済分も含まれる。現時点でWebを調べる限りではAppleはカード発行にあたって各ユーザーの取引履歴を活用していないようだが、仮に今後、iPhoneユーザーが無担保借入を行う際にAppleのウォレットアプリでの決済記録や日々の行動記録を参考に出来る形になれば、利用枠は更に大きくなる。

この手法はプライバシーの問題があるが、法的に許容されるのであればAppleの金融サービスの展開に大きく期待が持てる。また、ユーザー視点でも特に金利が安くなる可能性があるユーザーは、自分の決済や行動の記録を積極的に開示するのではないか。どうせApple社が握っている情報なのだ。何の不都合もない。