一歩下がって考えてみた-Black tee thinking

50代、海外在住です。日々気づいたことを書き溜めています。

Googleの退職勧奨報道 ー 整理解雇が難しい日本の現状について考える (2023年4月9日)

グーグルが全世界的に人員調整を行っている。全世界の従業員の6%を削減するとしており、日本法人も含まれている。グーグル日本法人は退職勧奨手続きを行っているが、その対応がが外資系についてはとても寛容なのが興味深い。

報道によればグーグル日本法人は3月上旬にメールで退職勧奨を実施している。その内容は「14日以内に退職を決めれば手当を増額する」とされており、「解雇」ではなく「合意退職」とするものだ。増額手当を支払って在職中の債権債務を清算することで、後日の訴訟提起や未払い残業代請求等のリスクを回避することが出来る。

退職勧奨がうまくいかない場合、整理解雇に移行することになると思われる。日本では整理解雇は要件が決められていてハードルが高いとされているが、外資系では相応に行われている。整理解雇の場合は会社を訴えることが出来るが、大抵の場合は整理解雇を行うまでに、PIPと言われるPerformance Improvement Planを形式上行ったりして訴訟に負けない準備はしているので、勝てる可能性は高くない。また、外資系企業は横の繋がりがあるので、一度会社を訴えてしまった人は次の就職が難しくなったりもするらしい。

但し、整理解雇のハードルを高いことが日本にとってはプラスにはならない点は認識しておきたい。この場合、特に気にすべきは社会に対する影響だ。人材の流動性が進まないため、日本は過去の優良企業に優秀と思しき人材が定着してしまい、人材の無駄遣いが発生している。また、雇用が長期化することで、過去の成功体験で新規ビジネスに挑戦できなかったりするケースも多く発生しそうだ。官僚も国益より省益を意識して行動しがちだ。

しかしながら、報道では旧弊を擁護するスタンスとなっている。今回のグーグルの場合も日本経済新聞等の報道ではユナイテッド航空の裁判の事例等から、基本給20か月分等の手厚いパッケージの支給が条件になったことを強調しており、どちらかと言えば従業員側の視点で説明している。経済新聞という看板を掲げている割には、大衆迎合の意見に偏っている点が残念だ。

アメリカのように比較的容易に解雇できる社会を目指すべきとは思わないが、国家としての競争力維持も考えながら、バランスの取れた解雇法制を考えて欲しいものだ。(今の厚生労働省には荷が重いかも知れないが。)

 

(参考にしたサイト)

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC281A20Y3A320C2000000/

https://legalet.net/foreign-owned-i-got-fired-summary/#i-3

https://mpg.rightmanagement.jp/tm/hrcafe/consulting/200917-02.html#:~:text=%E3%80%8C%E9%80%80%E8%81%B7%E5%8B%A7%E5%A5%A8%E3%80%8D%E3%81%A8%E3%80%8C%E8%A7%A3%E9%9B%87,%E3%81%A8%E3%81%8A%E9%A1%98%E3%81%84%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82